【評価レビュー】AI:ソムニウムファイル「笑いあり涙あり。さまざまな”アイ”の形を読み解くADVゲームの傑作」

こんにちは、いくらです。
今回レビューするのは2019年に発売されたADVゲーム『AI:ソムニウムファイル』です。
今月末に発売されるスピンオフ作品に興味を持ち、それがきっかけでプレイを始めたのですが…これがめっちゃ当たりでした!

なんでもっと早くプレイしなかったんだー!!
ということで見事にドハマりし、現在は続編をプレイしているところです。
本作の魅力を伝えるべく私なりに良かった点と気になった点、そして注意点についてまとめましたので、興味を持っている方の参考になれば幸いです。
『AI:ソムニウムファイル』は対象年齢18才以上のCERO:Zに区分されています。暴力シーンやグロテスクな表現が含まれているので苦手な方はご注意ください。
総合評価
総合評価 | |
---|---|
ストーリー・世界観 | |
キャラクター | |
サウンド・BGM | |
グラフィック | |
システム・UI | |
ボリューム・やりこみ |
- 伏線回収が気持ちいい作品を探している
- バディものが好き
- グロシーンが苦手
- ギャグや下ネタはいらない



あらすじからは想像できませんが、結構ギャグ要素多めです
ゲーム概要


商品名 | AI:ソムニウムファイル |
開発元 | スパイク・チュンソフト |
ジャンル | アドベンチャー |
プレイ人数 | 1人 |
対応機種 | PlayStation 4/Nintendo Switch/Steam(PC) |
初回発売日 | 2019年9月19日 |
クリア想定時間 | 30時間 |
備考 | CERO:Z(対象年齢18才以上) |
『AI:ソムニウムファイル』は、2019年にスパイク・チュンソフトから発売されたADVゲームです。



シナリオは『Ever17』や『極限脱出シリーズ』で知られる打越鋼太郎さんが担当しています
プレイヤーは警視庁の先進式人脳捜査部隊ABISに所属する捜査官・伊達鍵(だてかなめ)となり、猟奇殺人事件の捜査を行います。
本作のゲーム進行は主に現実世界で手がかりを探す「捜査パート」と、重要参考人の夢の世界を覗く「ソムニウムパート」の2つに分かれています。
捜査パートは事件現場の気になる箇所を調べて証拠を集めたり、関係者に聞き込みを行ったり、一般的な謎解きミステリーゲームと似たシステム。





頻度は少ないですが、証拠をつきつける取り調べパートもありますよ
他とちょっと違うのは、主人公である伊達の左目に「超高性能なAIが搭載された義眼(AI-Ball)が入っている」という点。
このAIには「アイボゥ」という女性の人格が設定されており、彼女が伊達の相棒として捜査をサポートしてくれます。


ズームモードで数百メートル先の映像を確認したり、X線モードで肉眼では見えない部分をチェックしたり、ちょっと近未来的な捜査を楽しむことができます。


もう一つのソムニウムパートについては、良かった点で詳しく解説します。
良かった点
畳みかけるような終盤の展開は見事!見直しがしやすいフローチャートも◎
ネタバレになってしまうので詳しくは書けないのですが、本作にはいくつかの分岐があり、全ての分岐を見ることで事件の真相を解明する真EDが解放されます。
「各々の分岐では断片的な真実しか分からない上に、それを知るとさらに謎が深まる」という、伏線回収にカタルシスを感じる人にとってはたまらない内容となっています。



それぞれの分岐で描かれる”アイ”にも注目です
フローチャートもしっかり完備されているので「全て分かった上で、もう一度あのシーンが見たい!」というときにもパパっと戻れる親切仕様です。


しかもこのフローチャートには簡単なあらすじが付いているので、万が一ストーリーを忘れちゃっても大丈夫。
ストーリー自体がかなり複雑なので、「時系列だけ見直したい」なんてときにもこのあらすじが役に立ちました。
何が起こるかはやってみてのお楽しみ!摩訶不思議なソムニウムパート
本作の目玉であるソムニウムパートでは、様々な事情から口を閉ざしたり嘘をついたりする重要参考人から情報を引き出すため、Psync装置という特殊な装置を用いて彼らの夢(記憶)を覗くことになります。


夢の世界には「メンタルロック」という障壁がいくつか用意されており、オブジェクトに対して正解のアクションを行うとロックが解除され、夢の世界に変化が起こります。
つまりロックを解除すれば対象者の深層心理により近づくことができ、事件の重要な手がかりを得ることができる…という仕組みです。
ただしこの夢が非常に厄介で、現実の物理法則が全く通用しない奇妙な世界となっています。


しかも他人の脳内にダイブするのはかなり危険らしく、6分の制限時間が設けられています。



夢の世界では、移動やアクションに伴い時間を消費します
「何が正解か分からないのに制限時間もあるんかい!」と言いたくなりますが、立ち止まっている間は時間が止まるのでご安心を。
また「TIMIE」というアイテムを使用すればアクションによる時間消費を抑えることができます。


TIMIEはアクション選択時に入手できることがあり、どんなTIMIEが入手できるかはあらかじめ知ることができます。
序盤は適当に進めても何とかなりますが、中盤以降のソムニウムパートはかなり難易度が上がるので「このアクションは無意味かもしれないけど、強力なTIMIEがゲットできるから選んでおこう!」みたいな戦略も必要になってきます。



その無意味に思えるアクションが正解だったりもするのですが(笑)
何もない不正解でもアイボゥのモノボケが見れたりするので、あまり損した気分になりにくいのもよかったです。
全編フルボイス!キャラの立ち絵もハイクオリティー
グラフィック自体はPS3くらいの質感ですが、セリフ横に表示されるキャラの立ち絵がかなり作り込まれている印象を受けました。
表情が左右非対称であることやバリエーションが多いことに加え、フィールド上にいるキャラクターと動きが連動しているのも地味にすごいなーと。


話している内容に合わせ、周りのキャラがジェスチャー付きで反応するのもグッド。
全編フルボイスなので長文を必死に目で追いかける必要もなく、キャラの反応を楽しみながらも会話に集中することができました。
気になった点
ソムニウムパートのマップが見にくい
全体的に好感触な本作ですが、強いて言えばソムニウムパートのマップがちょっと見にくいかなと思います。
というのも、自分が今どっちを向いているのかが分かりづらいんですよね。


フィールドに分かりやすい建造物があるのでそれを目印に移動すれば基本問題ないのですが、一部のソムニウムパートでは真っ暗闇を進まねばならず混乱する場面がありました。



プレイヤーの現在位置は丸じゃなくて矢印がよかったな…
注意点
ギャグと下ネタが人を選ぶ
本作は猟奇殺人事件を扱うため、シリアスなシーンがたくさん登場します。
がしかし、実はそれ以上にギャグ要素が多いゲームです。
陰鬱な雰囲気を紛らわすためにそうしたのかは定かではありませんが、くどいほどパロディネタや下ネタが登場します。


個人的にはコントみたいで楽しめたのですが、万人受けするノリではないので合わない人はとことん合わないと思います(下ネタは特に寒い)。


あくまでゲーム、エンタメとして割り切れる人は問題ないかと思いますが、こういうノリが苦手な方にはおすすめできません。
まとめ「伏線回収が好きな人なら間違いなくハマる作品!ただしグロと下ネタに注意」


『AI:ソムニウムファイル』をクリアした感想をまとめました。
グロ・ギャグ・下ネタと人を選ぶ要素は多いですが、ハマる人にはとことんハマる作品なんじゃないかと思います。



体験版もあるので、悩んでいる方はそちらをプレイしてからの購入がおすすめです
終盤の伏線回収は圧巻ですので、気になる方はぜひプレイしてみてください。